2024年04月06日
新高校一年生へ
岡崎市の新高校1年生の皆様、そして保護者の皆様、今は高校入試を終え、無事高校進学を果たしたことで一安心の頃でしょうか。ただ、高校生活はいつまでものんびりと過ごすことは許してくれません。本日は今後の高校生活において注意すべきポイントをお伝えしたいと思います。
高校入試合格発表
令和6年3月8日、愛知県下の各公立高校にて一般入試の合格発表が行われました。突如として訪れる感動に喜びを爆発させる生徒、不意の悲運に唇をかみしめる生徒。高校受験というドラマがクライマックスに達する瞬間です。
私もその現場にて、これまで共に苦しみ、不安を乗り越え戦ってきた生徒たちと感動を分かち合ってきました。合格の喜びにしみじみと感激を味わう生徒やその喜びを抑えきれずに体全体で嬉しさを表現する生徒など、実にさまざまでした。
ただ、この掲示による合格発表が行われるのは今年が最後になります。新型コロナの感染対策として、愛知県では2021年からホームページでの合否確認をできるようにしました。
私立高校や大学の合格発表ではもう10年以上前からインターネットでの合格発表が行われており、デジタル化の流れもあって、愛知県もWEBのみでの合格発表にふみきるようです。私も教師として長年、感動の一瞬を生徒と共有してきました。この機会がなくなってしまうのはなんとも寂しい限りです。
高校入試を終えて
さて、今回の入試の結果がいかなるものであったとしても、決してゴールに到達したわけではありません。むしろ、自分で道を拓きゆく人生のスタートに立ったところではないでしょうか。
今回の高校入試において多くの生徒は人生で初めて、自分の行き先を自分で選択するという経験をしたのではないでしょうか。
自分の目指すべき目標を見つけ出し、その実現に向けて努力を続ける。壁にぶつかりながらも挑戦を続け、乗り越えていく経験を持たずして成長はありません。
無論、努力が足りずに今一歩及ばず、悔し涙を流した生徒もいるでしょう。また、厳しい闘いを避け、安易に成功を得た生徒もいたかもしれません。しかし、自分自身が大いに悩み、考え抜いた末に選んだ道です。いかなる結果であろうとも、新たなる第一歩を堂々と踏み出して欲しいと思います。
今回の受験が勝利なのか、敗北なのか。合否によって、一度はその結果が出ました。しかし、真の勝敗はこれから生徒自身がどんな人生を歩んでいくのかで決定するのだと思います。
今回の入試の結果を人生の勝利の因とすることができるのか、また敗北の因としてしまうのか。それは今の心のあり方で決まると思います。新たなる第一歩を踏み出したからには、過去を振り返ることなく、力強くまい進して欲しいと思います。
次なる戦いは既に始まっているのですから。
高校生活の開始にあたって
4月になり、いよいよ夢にまで見た高校生活が始まりました。未成年といいながらも大人への階段を一歩のぼり、生徒の意思が尊重されるようになります。
部活動や学校行事なども中学生の頃とは比較にならないほど自由で楽しく、また厳しいものとなります。もちろん、自由を得た分責任もついてきます。同年代で既に社会人となり、大人の仲間入りをする人もいるのですから当然のことです。
自分の人生に責任を持たなければいけない時代になるのです。
高校の勉強
さて、学習面で高校生になってから大きく変わることとして以下の3つがあげられます。
①予習型への勉強スタイルの変更
これからは中学生までのように学校の授業で手取り足取り教えられ、復習することで学力をつけていくというスタイルではありません。
高校生は、基本的には自分自身で教科書や参考書を見て学習し、理解することが求められます。知らない単語は辞書で調べ、例題を見ながら学習し、よく分からないところを学校で聞く。いわゆる予習スタイルへと変化が求められるのです。
この変化に気づかず、また変化に対応することができないままだといつのまにか落ちこぼれてしまい、取り返しのつかないことになります。
進学した高校には、中学時代に同じような成績をとっていた生徒が集まってくるわけですから、平均点を取ることすらままならない状況で、これまで見たことのない点数や順位を取ってしまうこともしばしばです。
成績があまりに悪いと「赤点」とよばれる進級に満たない点数となります。赤点になると、再試験や課題、補習に追われることになります。これにはまると新たな学習内容の勉強まで追いつかず、泥沼にはまってしまう生徒も少なくありません。
高校3年間の成績は高校1年の1学期で決まる、といわれるのはこのためです。高校スタイルにいち早く慣れ、よいスタートダッシュを切っていきたいものです。
② 学習難度の高さ、進みの速さ
高校の学習内容はこれまでに比べ格段に難しくなります。中学時代に頭を悩ませた内容が、実は基礎中の基礎であったことを実感する日もそれ程遠くはないでしょう。
また、これまでの五教科がさらに細分化され、同時進行で進みますので、授業スピードが格段に速くなります。特に関東、関西方面の進学校とは違い愛知県下の進学校では詰め込み型カリキュラムをとっているところが多く、1年生のうちから2年生の先取り学習をするところがほとんどです。
例えば、中学3年生で扱った数学は教科書で約210ページほどですが、進学校の1年生で扱う数学は平均して420ページにも及びます。国語や英語など他の教科でも、古文や漢文、現代文、英文法など単純に科目数が増加するわけですから、平均2倍程度には履修内容が増加します。
③ 宿題やテストの激増
それに伴って、学校の授業だけでは十分に内容をこなすことが出来ません。したがって多くの高校では、授業の予習以外に多くの課題を出します。また、土曜学習や早朝学習を行い、授業を補いながら頻繁にテストも行われます。
この激動の中ですから、一度つまずき、遅れをとってしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。万端の準備の上、高校生活に臨んで欲しいと思います。
大学受験に向けて
気の早い話を、と思われるかもしれませんが大学受験のことを少し考えてみたいと思います。
高校受験を振り返って見ますと、受験校を決定するのは受験の直前であることは珍しくありません。それは、どの高校を受験するにしろ、学習内容にほとんど違いがないからです。公立高校では、全ての高校で同じ入試問題を利用しますし、私立高校の入試問題の内容も三河近辺では公立とさほど違いはありません。
しかし、大学入試では大きく異なってきます。文系、理系の違いはもちろん、国公立を目指すのか私立なのか、学部や学科はどうするか、受験科目は何を選択し、大学入試共通テストを受験するのかどうか。また一般受験で行くのか、推薦を目指すのか。それによって勉強法・学習内容は大きく変わってきます。
例えば、数学を武器にして二次試験を受験するのか、共通テストレベルでいいのか、または内申点アップを目指すのか。これで数学にかける労力は格段に変わります。ですからなるべく早い時期から進路を決定している生徒は優位に立つことになります。もちろん途中で気が変わることもあるでしょうが、将来の職業や自分の適性を考え早めの進路決定をして欲しいと思います。
その第一の選択である文系・理系の選択は1年生の2学期にやってきます。夏休み前に高校側から話があり、2学期に入ればすぐに希望の提出を求められます。高校入試とは違い、とりあえず頑張ってみて成績を見ながら進路を決めていこう、では手遅れになってしまうこともあります。入試を終えて、高校生活に慣れたと思ったらすぐに大学入試、では少しかわいそうな気もしますが、これが現状です。
先程述べたように、高校からはかなり大量の課題が出されます。多くの生徒がそれに追われてしまいます。まして、部活動に力を注ぎたいということになれば、ますます自由に使える時間が減少し、よほど効率のいい学習をしていかなければなりません。
しかも、早い内から大学入試を意識した学習を進めていかなければ第一志望大学の合格を勝ち取ることはかなり難しくなります。
厳しい話ばかりをしているようですが、3年後には確実に次のステップへと上がっていきます。そのときに、生徒それぞれが最高のステップを踏みしめていくことを願っています。
まとめ
岡崎市の新高校1年生の皆様、いかがでしたか。自分で思い描いていた高校生活とは違うことばかりを述べてしまったかもしれませんが、一つの現実として受け止めてもらえれば嬉しく思います。
もちろん、高校生活は新たな出会いの場であり、楽しいこともたくさんあります。現実を知り、効率よく学習を進めることで、皆様が青春を謳歌されることを願っています。