2024年03月25日
大学進学を目指すべきか?
岡崎の中学生や保護者様はどのように考えられるでしょうか?
「医者になりたい」「教師になりたい」等、将来希望する職種で大学進学が必要とされるのであれば、悩むことはないでしょう。悩むのは「特にやりたいことがない」「何をしたいかわからない」と疑問に思っている中学生やその保護者の方ではないでしょうか?
まだ高校へも行ってないのに、早すぎるのではないか?高校に行ってから決めればいいのではないか?と思われる方もいるかもしれませんが、それでは遅すぎます。どの高校に進学するかで行ける大学は大きく変わります。
どの高校を志望校にするかは、大学へ行くのか、どのレベルの大学を目指すのか、から逆算して考えるべきです。とりあえず頑張ってみて、成績に見合った高校を受験しようでは手遅れになってしまうこともあるでしょう。
1.大学進学率はどれくらい?
文部科学省の2023年度の学校基本調査によれば、大学進学率は57.7%と、8年連続で最高記録を更新しています。最も進学率が高い京都(73.0%)や東京(72.8)は7割を超え、愛知県は62.8%となっています。ちなみに短大や専門学校を含む「高等教育機関」への進学率も84.0%で過去最高になっています。
大学進学の決断は、人生の大きな転機となります。特に将来に対する明確なビジョンがない場合、その価値を見出すのはさらに難しいかもしれません。
しかし、ここでは「やりたいことがない人ほど大学に行くべき」と強く主張したいと思います。
2.大学進学が開く可能性
大学への進学は、将来の職業選択の幅を広げるだけでなく、個人の成長にも大きく貢献します。では、なぜ大学に行くべきなのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
2-1.専門的な内容を学べる
大学は学部や学科など細かく分類され、自分の学びたいことを専門的に学べます。中学や高校での勉強は、広く浅く学問の基礎を学ぶものであり、暗記や解き方の理解が中心の受動的な勉強になります。しかし、大学では自ら能動的に発想し、考えることで、時に人類の未知の領域にさへ足を踏み入れる、学問本来の楽しさを実感することができます。教授や准教授など専門家に身近に接することができるのは大学ならではの貴重な経験となります。大学は学ぶのに最適な環境が整っていると言えるでしょう。
2-2.職業選択の幅が広がる
大学生を対象にしたあるアンケートで、大学進学の理由で最も多かったのは「将来の仕事に役立つ専門的な知識や技能を身につけるため」でした。つまり大学進学は就職のためであり、また、企業の多くも就活生に「大卒以上」を求めます。特に大企業はそうで、余程特殊な経歴や技能がない限り大卒が必須となります。
大卒の資格があれば、選べる職種は格段に増え、自分に合った仕事を見つけやすくなります。もちろん、専門的な知識や技能を身につけることで、専門職への道も開かれます。
2-3.給料の向上
給料は、地域や就職先の企業、雇用形態、専門性等の条件によって大きく変わりますが、統計によると、大卒者の平均給与は高卒者に比べて明らかに高くなります。
生涯賃金では高卒だと男性2億1000万、女性1億5000万、大卒だと男性2億7000万、女性2億2000万ほどになり、数千万の差が生まれます。
長い目で見れば、大学への投資は十分に回収される事になります。
2-4.視野の拡大
大学は学問を深める場であると同時に、多様な価値観に触れる場所でもあります。近隣市町村から生徒が集まってきた中学や高校とは違い、大学には全国の様々な地域や海外からも学生が集まってきます。様々な方言や言語が飛び交い、文化や習慣など、異なるバックグラウンドを持つ人々との交流は、視野を広げ、新たな興味や関心を見つけるきっかけになります。
また、様々な交友関係や人脈を築く事ができ、将来の仕事につながったり、生涯の友と出会うこともあるかもしれません。
2-5.時間の確保
大学生は、これまで集団行動を求められてきた中学生や高校生とは異なり、個人の自由になる時間が豊富にあります。また、就職してからは仕事に追われる人が多いため、若いうちに自由な時間があるのは大学生の特権かもしれません。
この時間を何に使うのか。読書にふけったり、旅に出たり、アルバイトで社会経験を積んだり、人によって様々でしょう。その中で、自分をみつめ、本当に自分の生涯をかけてやりたいことを見つけることがあるかもしれません。
3.大学進学最大のメリット
私の考える最大のメリットは、受験と学びの中にあります。
受験に際し、志望校を決定し、合格を勝ち取るまで努力することは社会に出てから役に立つことがたくさんあります。
合格するには、自分の現状を認識し、目標までの実力差を入試当日までにどのように埋めるかを考えなければなりません。仕事で納期に間に合わせることと似ています。そのために、試験の出題傾向を知り、必要な教材を揃え、スケジュールを練り、それを実行する行動力も必要です。また、勉強を習慣づけたり、努力を続ける力も必要です。模試結果が悪くても、失敗を引きずらない感情コントロールも必要です。未知の問題にぶち当たった時に、正解を求め様々なアプローチをすることも、わからないことがあったら人に聞く事も大切な力です。
受験において高い志を持ち、それを勝ち取っていく行為そのものが、社会で必要な能力を獲得する最短の道であると私は思っています。これこそが大学を目指す最大のメリットとなるでしょう。
また、先程も述べましたが、中学や高校での受動的な勉強とは異なり、大学での学問は能動的であり、必ずしも正解はありません。その中で試行錯誤を繰り返し、最良の方策を導き出す力は、先の読めない現代社会にあって最も必要な力ではないでしょうか。
今は正解でも、それが将来にわたって正解とは限りません。我々の生活がインターネットやスマートフォンの普及によって大きく変わったように、AIの登場で変化が加速しています。通信システムも5Gから6G、7Gへと進歩することで想像もできなかった世界がやって来ようとしています。お子様たちが大人になる頃には、間違いなく今とはかけ離れた世の中になるでしょう。その時に能動的に社会の変化に対応していけるのか、取り残されてしまうのか。大学進学がその分岐点かもしれません。
3-1.そもそも、エリートを目指さなくても良い
多くの人が「大学=エリートへの道」と考えがちですが、そうではありません。大学教育は、自分自身の能力を高め、より良い人生を送るための一つの手段です。エリート職に就かなくても、大学で学んだことは人生の様々な場面で役立ちます。
3-2.勉強が苦手な人へのメッセージ
勉強が得意でなくても、大学進学を目指す価値は十分にあります。大学での学びは、高校までの勉強とは異なり、自分の興味や関心に基づいて深く掘り下げることが可能です。また、勉強が苦手な人ほど、大学での学びを通じて新たな自分を発見できるチャンスがあります。大学では、自ら学ぶ姿勢が求められます。そのプロセスの中で、学ぶ楽しさや自分の可能性を見出すことができるでしょう。
3-3.注意しておきたいこと
大学進学において、気をつけておきたいことがあります。
まず、大学では多額のお金が必要である、ということです。学費や生活費のためアルバイトばかりに明け暮れたり、就職の後、学生時代に借りた奨学金を返すのが大変で、とても苦しい生活を送る人も珍しくありません。
高等教育の修学支援制度での給付型の奨学金制度の利用者も増えているようですが、返済型の奨学金制度も合わせ、よく確認する必要があるでしょう。
また、既に大学全入時代が始まっていると言われています。つまり大学への入学希望者総数が入学定員総数を下回っており、選ばなければ、全員どこかの大学へ入れるということです。そうなると、大変な思いをしないで受験を終える人も出てくるため、必要な力が身についていない人も出てくるでしょう。また、大学の学問は能動的であるため、自主性や計画性がない学生は何も身につけることがなく、大学生活を無駄に過ごしてしまうことになります。
4.岡崎の中学生へ:大学への一歩を踏み出そう
大学進学は、将来の選択肢を広げ、自分自身を成長させる貴重な機会です。やりたいことが見つかっていない、勉強が苦手という中学生でも、大学での学びを通じて自分の道を見つけることができます。岡崎の中学生の皆さん、大学への道は決して平坦ではありませんが、その先には無限の可能性が待っています。今、大学進学に向けて一歩を踏み出し、自分自身の未来を切り開いていきましょう。