2024年05月24日
子どもの成績 どう伸ばす?伸びる子と伸びない子の違いから見る親が出来ること!
生徒たちの学習成果には個々の特性が大きく影響しますが、親としてサポートする方法もまた重要です。
「成績が伸びる生徒と伸びない生徒の違い」を理解し、日々の学習サポートに活かしましょう。
1.成績が伸びにくい生徒の特性と改善策
成績が伸びにくい生徒たちには特定の共通点が見られます。
こうした特性を理解し、適切な対策を講じることで、学習効果を高めることが可能です。
1-1.学習に取り組む姿勢
1.姿勢が悪いと・・
成績が伸びにくい生徒の中には姿勢が悪い生徒が多く見られます。姿勢とはまさしく机の前に座る様子のことです。ひじをついたり、寝そべったり、足を組んだり。
正しい姿勢をとらないことで血流が悪くなり、集中力が途切れ、眠気に襲われます。学習効果を保つために正しい姿勢で学習に臨みましょう。
また、鉛筆の持ち方も正しくしたいものです。本人の持ちやすいように、と気にしない保護者様も見えますが、正しい持ち方でないと、手に変に力が入ってしまい、書くスピードが遅くなったり、疲れて長時間の学習に耐えられなくなります。
はじめは書きづらいかもしれませんが、早めに矯正していきたいものです。
2.整理整頓できない生徒は・・
学習する机上が整理整頓できているかは、生徒がしっかりと学習に臨めているかの指標になります。
子どもの頃は遊んだら遊びっぱなし、服は畳まない、部屋の中も雑然としているものです。
これが改善されないまま成長すると、整理整頓ができなくなります。
机上が整理されてない生徒は、かばんの中に配布されたプリントが無造作に入れられていることが多く、必要なときに必要なプリントが見つからなかったり、忘れ物が増えます。
同様にノートの取り方が整理されておらず、頭の中が整理されていないことになります。
天才肌の学者は研究室が雑然としているイメージがありますが、それは一部の例外であり、やはり整理整頓できることが学力向上には欠かせないものと考えられます。
1-2.継続的な学習習慣の欠如
1.準備に時間がかかる
多くの場合、成績が伸びない生徒たちは、継続的に学習する習慣が身についていないことが原因であることが多いです。
テスト直前のみの集中学習では、知識が長期的に定着しにくく、次第に忘れてしまうため、継続的な学習習慣が必要です。
成績が伸び悩む生徒は、実際の勉強に取りかかるまでに多くの時間を費やす傾向にあります。
準備段階で時間を浪費してしまうと、有効な学習時間が短くなり、結果的に成績向上につながりにくくなります。
その解決策としては、「○時から勉強を始める」「○○が終わったら○分以内に勉強を始める」などとルールを決め、実行させることです。
予め何を勉強するかを決め、必要なものをリストアップし、すぐに取り掛かれるようにしておくと良いでしょう。
それでもなかなか勉強を始められない生徒は、塾などにいかせ、強制的に勉強しなければならない環境に置くのも良いと思います。
2.やるべきことがわからない
成績が伸びにくい生徒は、しばしば「何を目標にすればよいのか」が不明瞭です。
明確な学習目標を設定することで、子どもは具体的な学習成果に向けて努力することが可能になります。
短期的、長期的な目標を設定し、定期的に目標達成度を確認し、必要に応じて目標を調整していくことが大切です。
適した目標設定については、なかなか生徒一人では立てられません。ここは生徒主導で、保護者様と一緒に目標を立てると良いでしょう。
目標を生徒だけでなく保護者様と共有することで、生徒のモチベーションは上がります。
場合によっては学校や塾の教師とも目標を共有するのが良いでしょう。
目標設定に当たっては、「○時間勉強する」等と時間にこだわるのではなく、「この単元を理解する(テストで正解する)」「学年順位は○番以内」などが良いでしょう。
1-3.基礎からできていない場合・・
1.基礎をやらずに応用
学力をつけるにあたっての手順は、まず根本的なことを理解し、基礎学力をつけ、少しずつレベルアップしていくのが王道です。
基礎学力がないまま、応用問題にチャレンジしていく勉強法もありますが、これは能力が高い生徒には有効な場合もありますが、一般的には基礎からの手順通りにいくのが良いでしょう。
2.積み重ね教科は・・
どの教科も、学習内容については学年が上がるにしたがって難しくなります。
また、これまでの履修範囲を発展させていくことも多くなります。
例えば中学1年生の数学は、正の数・負の数の計算からはじまります。その後、文字式が登場し、方程式へと続きます。正負の計算や文字式の計算ができないと方程式は解けませんし、方程式ができなければ、この先の連立や二次方程式はもちろん、比例・反比例や一次関数などほとんどの単元に支障を来すことになります。
特に積み重ね教科である数学や英語はその傾向が強くなります。
では、積み重ね教科はどこまで振り返って復習すれば良いでしょうか。
実は、積み重ね教科こそ、復習はいらないともいえます。
例えば、中学1年生の頃から英語がほとんどできなかった中学3年生がいました。彼に中学1年生の教科書を読ませたところ、すらすらと読みこなし、日本語訳も完璧でした。それどころか「なんて簡単なんだ」と口にしました。
彼はこれまで復習もしたことがないのになぜでしょう?
それは英語が積み重ね教科であり、今やっている教科書内容にこれまでの復習内容が含まれているためです。
現在の学習内容を勉強することで、自然と復習をすることになります。
だからこそ、積み重ね教科に復習はいらない、といえるのです。
1-4.授業の聞き方・ノートの取り方
1.学校で何をやっている?
塾での授業を進めるにあたり、学校での授業進度を確認します。
「学校で今どこまで授業が進んだか」をたずねたとき、明確に答えられない生徒はやはり成績が伸びにくい生徒が多いです。
いくつか単元名や単語を伝えることで、「ああ、その言葉やった」と言えればまだ大丈夫ですが、それでも履修したかどうかわからない場合は、かなり重症です。
授業を全く聞いていないか、何をやっているのか理解できていない状態です。
2.ノートの取り方
向陽塾では、黒板にチョークを使って授業を行います。
授業でノートを取るかどうかは生徒に任せているのですが、成績が伸びにくい生徒は全く取らないか、黒板の丸写しをします。
何が重要で、何を覚えておかなければならないか、が理解できていないと思われます。
また、学校の授業で電子黒板やタブレットを使用したり、英語では会話やリスニングに重点を置く傾向があり、生徒がノートを取る機会が減っています。
そのため、授業を聞きながら理解し、頭で整理し、ノートにまとめるという作業ができない生徒が増えていると思われます。
大学や企業などでは、ノートを取らず、スマホで写真を撮って記録する姿も目立ちます。これは記録という点では問題ありませんが、整理して頭に入れる、学習するという点では大いに問題ありと言えるでしょう。
1-5.学習方法
1.学習内容がずれている
成績が伸びない生徒は「何を勉強すればいいのか?」がわかっていないことが多いように思います。
成績を上げる、つまりテストでよい点数を取るためには、テストの出題傾向を知る必要があります。テストに出ないことを一生懸命に勉強するのは得策ではありません。
例えば英語の発音やアクセント問題。矢作北中学校や矢作中学校でこれらの出題はありませんし、高校入試にも出題されません。
以前は大学入試センター試験で出題されていましたが、共通テストになってからは出題されません。
発音やアクセントが求められるのは一部の大学の二次試験や英検などの面接試験です。
したがって、英会話を主たる目的とするならば大切な内容ですが、成績を上げるためには発音やアクセントに力を入れる必要はありません。
出題傾向の高い単元、問題パターンに力を入れると良いでしょう。
2.アリバイをつくる
成績が伸びない生徒の中には、ただ机の前に座っているだけを勉強したと勘違いしている場合があります。
ただ、教科書を読んでいるだけ、問題を解いて○×をつけるだけ、答えを丸写しするだけ、では力はつきません。
実際それはただの作業にすぎず、勉強とはいえません。
ところが、それを勉強と思い「勉強したけれど、ダメだった」と口にします。
こういわれると、保護者様もやったけれどダメなら仕方ない、次も頑張れ、としか答えられなくなります。
私はこれをアリバイ勉強と呼んでいます。
実際には勉強していないのに、外面的には勉強している状態。これが続くとどうなるでしょう?
当然成績は上がらないので、生徒本人も保護者様も、やっても結果が出ない、ダメなんだ、能力がない、やっても無駄だ、もうやるのをやめよう、と負のスパイラルに陥ってしまいます。
勉強をしても成績が上がらない生徒は、勉強内容をしっかり見直す必要があります。
1-6.自信がない
成績が伸びない生徒の多くは、勉強に関して自信がありません。
自分には出来ないという思い込みから、勉強自体に後ろ向きになることがあります。
自信が持てない理由は何でしょうか。
過去の失敗に原因があることが少なくありません。
先ほどの「アリバイをつくる」でも述べましたが、自分が一生懸命やったのに結果が出ないことが重なると、人は自信を失います。
本当はやり方が少し悪かっただけなのに、自分には才能がない、やっても無理だと思い込んでしまいます。
自信を持つためには、何より結果を出すことです。どんなに小さなことでも構わないので、結果を出し続けることで自信がつきます。
自信がつけば人は多少の困難にぶつかっても乗り越えることができます。
一日も早く、正しい頑張りで結果を出し、自信を持って勉強に取り組んで欲しいと思います。
2.成績が伸びる生徒の特性
これまで述べてきた「成績が伸びない生徒の特性」の逆をいけば、成績が伸びることになりますが、もう少し付け加えて「成績が伸びる生徒の特性」について紹介します。
2-1.数学が得意な生徒は・・
数学は得意、不得意が大きく分かれる教科です。数学が得意な生徒に共通する特性は何でしょうか。
それは、数学の基礎学力にあたる計算がしっかりできるということです。しっかりできるとは、正解を導くことなのですが、それよりも計算過程がしっかり書けるということです。
数学が苦手な生徒は、正しい式の展開ができません。正しく等式に基づいて展開できず、計算も暗算でやろうとします。ですから、テストの問題用紙を見てみると、できない生徒はほとんど何も書いてなくきれいなものです。
これに対し数学ができる生徒の問題用紙には、びっしりと書き込みがされています。
この式の展開の仕方を学ぶ最大のチャンスは中1の方程式です。夏休み明けあたりに本格的に学ぶ単元ですから、ここでしっかりと力をつけたいものです。
向陽塾では夏休みを利用して、方程式の計算を徹底的にやります。これは方程式の計算が数学の基礎にあたるためでもありますが、式の展開ができるか否かが数学が出来るかどうかの鍵を握っているためです。
2―2.プリントをやるのが遅い・・
テスト前にまとめのプリントをやっていて進みが遅いのは、必ずしも理解が進んでない生徒ではありません。
成績が伸びる生徒は、出来なかった問題にこだわります。自分が何を間違え、どこを理解していないのかにこだわり、それが解決するまで次には進みません。
したがって、1枚のプリントをやり終えるのにかなりの時間をかけることがあります。
こういう勉強が出来るようになれば、間違いなく成績は上がっていきます。
2-3.授業への姿勢
成績が伸びる生徒は、共通して好奇心が旺盛です。知らないことに対して知りたいという意識が強いため、授業も集中して聞きますし、疑問点への質問もよく来ます。
本来なら成績の悪い生徒の方が質問に来るべきですが、質問に来るのは圧倒的に成績が良い生徒が多くなります。
3.家庭で出来るサポートとは
生徒たちが成績を伸ばすためには、周りの環境が欠かせません。
ここではご家庭で出来るサポートについて紹介します。
3-1.適切な学習環境の提供
知能にかかわる遺伝子はX染色体にあるため、母親から受け継ぐ、という説がよく語られます。
さまざまな分野の研究者からさまざまな説が語られるため、正直どれが正しいのか、私にはわかりません。
しかし、脳科学、遺伝子研究の第一人者である、東京大学名誉教授の石浦章一教授によると、近年の目覚しいゲノム解析技術により判明したことによれば、頭が良くなる遺伝子はなく、知能は遺伝子で決まるものではないそうです。
ただ、一般的に賢い母親の子どもは賢いと言えます。なぜでしょうか。
例えば、東大生には共通の傾向があります。それは、自宅には多くの書物が並び、親も子どもとともに学ぶ姿があり、科学館や博物館、動物園などによく連れて行ってもらったことです。また、食卓を囲む会話が弾み、時に時事問題について親と意見を交わしたり、子どもが親にプレゼンをするなど、子どもが知的好奇心を刺激される環境が与えられていたということです。
賢い母親は、子どもの能力を伸ばすように導くことが出来る、ということでしょうか。
3-2.親だからできること
これまでさまざまな点について述べてきましたが、成績が伸びない生徒には大人からの適切なアドバイスと環境作りが必要です。
整理整頓が出来ない生徒には、はじめは手取り足取り教えることが必要かも知れませんし、モチベーションが自ら上がらない生徒に対しては、共に目標を設定し、環境を整え、結果が出ればすかさず褒めることが必要です。
また、集中力を保つために血糖値の上昇を緩やかにする食事を提供したり、勉強中は静かにして勉強しやすい環境をつくることも必要です。
生徒の成績が上がるかどうかは最終的には生徒本人の頑張り次第です。
しかし、まだ未熟な生徒たちを成功に導くためにも、周りの大人がかかわっていくことは大切なことです。
向陽塾もそんな大人の一人として、今後も地域の皆様のお力になれるよう、全力で生徒たちをサポートしていきます。